Atomic Energy & Renewable Energy

海洋エネルギー発電

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海洋エネルギーの研究は発展途上にあります。しかし、海洋エネルギーをうまく利用することができれば人類のエネルギー問題は一挙に解決するとさえ言われています。日本も一時期、基礎研究の分野で世界を主導したこともありましたが、多額の予算が原子力政策に費やされたため、大きく遅れをとってしまったようです。
「現在,海洋エネルギー発電の技術開発は,欧州(特に英国)や米国を中心に進められている.日本では過去に基礎的研究が進められており,当時は世界を主導していたが,近年は実用化に向けた技術開発の進度は欧米に10 年遅れているといわれている.海外では,周辺海域の波力および潮流のエネルギー密度が高い英国を中心に1990 年半ばから再び活発化し,多くの波力・潮流発電装置の開発が進められている.国別の主要な波力発電プロジェクト件数を図6-38 に示す.プロジェクトの約6 割は欧州で,さらにその約半数は英国で行われている.」(「再生可能エネルギー技術白書第2版」NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構編)

海洋エネルギー発電の種類と原理

海洋エネルギー発電には海岸に打ち寄せる波の力を利用した波力発電、海洋の循環を利用した潮流発電、海流発電、海水の温度が海の深さによって異なることを利用した温度差発電があります。各発電方式には幾つかの種類が考案されており、創意工夫に富み、知恵を結集した刺激に満ちた世界が海洋エネルギー発電と言えます。以下、その一端を紹介します。

波力発電

振動水柱型波力発電システム(OWC:Oscillating Water Column)

海面の上下動によって生じる空気室内の圧力により空気タービンを回転させる方式です。構造が比較的簡単であるため台風などの強烈な波浪に対する対策が講じやすく、波力発電の中では安定している方式です。
波によって生じる往復気流中でも常に一定方向に回転するウェルズタービンが主流になっています。日本で開発されてきた波力発電装置にはこの方式が多く採用されており、1965 年に海上保安庁に採用された益田式航路標識用ブイは最初に実用化された浮体式の振動水柱型装置(最大出力 30W~60W)で、国内外で数千台が稼働しています。

 by naspman

可動物体型波力発電システム

可動物体型波力発電システムは、波の力によって装置を動かし、その運動エネルギーを利用して発電する方式です。沖合に設置される波力発電装置の主流になっています。

振り子式波力発電システム

波の力によって波受板を振り子運動させ発電する方式です。

 by naspman
●滑車式(つるべ式)波力発電システム

滑車にフロートと重りを取り付け、フロートを海面に浮かべることによって生じる上下運動を滑車によって回転運動に変換してタービンを回し発電する方式。

 by naspman
●発電機駆動式システム

波力にってフロートを上下させ、フロートに固定したラックギアでピニオンギアを回転させて発電機を駆動させる方式。同様の原理で機械式波力発電システムや係留式波力発電システムなどがあります。

 by naspman
●ジャイロ式波力発電システム

波力によってジャイロ装置を傾斜させると水平になろうとして生じる回転力で発電する方式。

 by naspman

越波(えっぱ)型波力発電システム

波を防波堤や傾斜版で越波させて貯水槽と海面に高低差を生じさせ、海に戻ろうとする海水の流れでプロペラを回転して発電する方式。図に示したカプラン水車とは羽の角度を変えることができるプロペラのことです。

 by naspman

潮流発電、潮汐力発電、海流発電

潮流発電や海流発電は海水の流れで海中に設置したプロペラを回して発電します。さまざまな方式や形状が考案されており創意工夫に満ち溢れた分野です。

(株)IHI 内海発電(株) 川崎重工業(株)

潮流は月や太陽の引力によって発生する潮の干満による海水の流れのことです。満潮や干潮という言葉に代表されるように流れる向きがほぼ逆転するのが潮流の特徴です。日本では瀬戸内海や九州西岸など沿岸域で満潮と干潮の差(潮汐差)の大きい海域で見ることができます。
海流は大洋の表層の一定方向の流れのことでメキシコ湾流や黒潮などがあります。貿易風や偏西風などの大気循環や海水の温度差、密度差などによって海流は発生します。
関門海峡や津軽海峡は海流と潮流の合成の流れです。厳密には海はつながっていますし、月の引力は地球規模で作用しますのですべての海の流れは海流と潮流の合成流と言えます。

沿岸部の潮流や海峡の流れは規則的な流れのため計画発電が可能であり信頼性の高いエネルギー源になります。一方で船舶の往来や複雑な漁業権問題などがあり日本では施設の大規模化は難しいと言われています。地産地消型の分散型小規模発電の方向で、当面は進んでいくのかもしれません。海流発電はゆったりとした海洋の流れからどのように効率良くエネルギーを引き出すのか、どのように遠方の陸地までエネルギーを届けるのかが課題です。しかしエネルギー量は無尽蔵であるため人類の英知が問われているエキサイティングな分野であることは間違いありません。

2017年8月、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)とIHIは、鹿児島県沖の黒潮海域で世界初の海流発電の実証実験を成功させました。海洋エネルギー発電の分野では後れをとったと言われる日本ですが、この分野を国家プロジェクトと位置づけ、実験のための実験にとどめることのないよう政府の強力な後押し(予算措置)が求められています。

NEDO(黒潮をターゲットにした実証実験の装置構成)

潮汐力発電

月や太陽の引力による潮の満ち引きによって生じる潮位差(干潮時と満潮時との海面差)を利用した発電です。
湾の開口部などに外海を隔てるようにして防波堤を設けます。防波堤に水門を設置し、干潮時には開き、潮の流れが反転するときに水門を閉じることで内海と外海の間に海面差をつくり出します。満潮時に水門を開き、外海から流れ込む海水の流れでプロペラを回して発電します。潮の満ち引きを利用しているため1日に2回、4時間ずつ発電するといった運用が行われています。

潮汐力発電はフランス、ロシア、中国、カナダ、韓国などが導入しており、フランスとロシアは1960年代から稼働させています。
韓国は始華湖(シファホ)潮力発電所が最初で2011年の稼働です。始華湖潮力発電所は総工費が360億円、発電出力25.4万kWで10万世帯以上に電力を供給しています。これにより年間で100億円近い原油の輸入を削減しているとのことです。韓国では西海岸地区における潮力発電所の建設に力を入れています。潮力発電所は海水中の施設であることから維持費もそれなりにかかりますが、100万kW級の原発1基の建設費が今や1兆円を越すと言われているのと比較すると、少なくとも初期コストの大幅な低さは際立ったものがあります。

潮汐力発電は潮位差が大きいほど有利であり、カナダの潮位差は16m、韓国は10mあります。それに対して日本は有明湾で6m、東京湾では2m程度しかありません。潮位差が5m以上あれば潮汐力発電は可能とされていますが、日本の場合は漁業権などの問題もあって実現は困難だと言われています。

海洋温度差発電 OTEC(Ocean Thermal Energy Conversion)

海洋温度差発電は海洋の表層と深海の温度差を利用して発電します。原理は水を沸騰させて水蒸気を発生させ、その圧力でタービンを回して発電する原発と同じです。ただし、海洋の表面温度は25~30℃程度ですので、その温度でも液体が沸騰するよう装置内の圧力を下げ、沸点が水より低いアンモニアやアンモニアと水の混合液などを使用します。
装置内を低圧状態に保つ以外は原発に比べるとはるかに構造がシンプルであり、環境汚染の心配もないためインドや東南アジア諸国での導入が検討されています。

久米島で見学可能な実証設備が稼働

海洋温度差発電所としては、沖縄県久米島町で実証設備が2013年から稼働しています(写真下)。見学は毎日受け付けています。
http://otecokinawa.com/

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