再生可能エネルギー普及のネックになっているのが送電網・配電網の問題だ。電力会社は「空き容量ゼロ」として相次いで再生可能エネルギーとの接続を拒否している。その口火を切ったのが東北電力だ。2016年5月、青森県、岩手県、秋田県などで「基幹送電線が満杯になった」として50kW以上の発電設備の送電線への接続を停止した。東北電力ショックである。

送電線の利用率は50%が適切であるとされる。送電線が切れたり、設備が故障したときのバックアップのためだ。

出典)東北電力HP及び電力広域的運営推進機関HPより資源エネルギー庁作成

上図の「岩手幹線」の最大利用率が42.8%と50%に近くなっているのが、「空き容量ゼロ」の論拠だ(資源エネルギー庁が東北電力の代弁をするのはどうかと思うが)。

それに対して朝日新聞デジタルは2017年10月、京大再生可能エネルギー経済学講座の安田陽、山家公雄の両特任教授が公表データをもとに東北地方の基幹送電線について、1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較した結果を下記の通り報じている。

朝日新聞デジタル(2017.10.10)

東北電力の数字は、いわば瞬間最大風速であり、京大の先生が算出した数字は平均風速になる。どちらが適切かと言うと、送電キャパとしては東北電力の数字だろう。しかしあまりに平均使用率が低いのだから、そこに知恵を働かせる余地があるのではないだろうか。

朝日新聞デジタルでは、全国の電力会社の利用率も報道している。

朝日新聞デジタル(2018.1.28)

電力会社が利用率が低いにもかかわらず「空き容量ゼロ」を主張しているのは、運転停止中の原発など、既存の発電設備のフル稼働を前提にしているためだとのこと。加えて電気事業連合会の勝野哲会長が記者会見で、「原子力はベースロード(基幹)電源として優先して活用する」と発言していることは、電力会社が原発のために優先的に空き容量を確保していることを示している。

電力会社は再生可能エネルギーと接続するなら莫大な請求を行うとの報道もなされており、これが事実なら国民に対する恫喝である。このまま再生可能エネルギーを拒否し続け、送電網の効率的な利用という知恵も働かせず、廃炉費用も使用済み核燃料など放射性廃棄物の処理費用を含めずに原発は電気代が一番安いと言い続けるのであれば、日本は電力分野においてもますますガラパゴス化せざるをえない。