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原発の仕組み

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原発の基本構造――圧力容器と格納容器の二重構造

原発はウラン燃料の核分裂連鎖反応で発生した熱を利用して水を過熱し、沸騰させて蒸気でタービンを回して発電します。

原子炉建屋内に格納されている原子炉は、原子炉圧力容器とそれを覆う原子炉格納容器の二重構造になっています。

福島第1原発原子炉建屋の構造
(毎日新聞 福島原発 図説集より)

原子炉圧力容器

ウランの燃料集合体を収める円筒状の鋼鉄製の構造物で、鋼鉄の厚さは15~30cmです。圧力容器の中では、核分裂エネルギーによって高温、高圧の水や蒸気が生まれるため、容器に使う鋼鉄は高温、高圧に強く、耐食性を必要とされます。

原子炉格納容器

冷却材の喪失時などに圧力障壁となるとともに放射性物質の放出を防止するための施設です。原子炉及び1次冷却系の設備をすべて格納しています。
格納容器は厚さ約3cmの鋼鉄製の容器を周囲約2mのコンクリート製の壁で覆っている構造になっている(女川原子力発電所)。

原発の種類

日本には以下の3種類の原発があります。
1.沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)
2.改良型沸騰水型原子炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)
3.加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)

戦後、原子力発電が導入するにあたり、自主開発と海外(主に米国)からの技術導入の方針を掲げました。電力会社による商用炉については、PWRとBWRの併用による海外技術を導入し、電力会社、プラントメーカー、サポートする大学の組み合わせを以下の通りとしました。

■BWR → 東京電力他+ 日立製作所・東芝 + 東京大学

■PWR → 関西電力他 + 三菱重工業 + 京都大学 

この枠組みは現在でも変わらず、以降、原子力発電に取り組んだ電力各社もこのどちらかのグループに従っています。原発事業を官産学連携の総力戦として取り組んできたことがうかがわれます。

沸騰水型原子炉と加圧水型原子炉は、タービンを回す水蒸気を原子炉内で直接的につくるのか間接的につくるのか、
構造上制御棒が上から入るのか、下から入るのかの違いがあります。

沸騰水型原子炉(BWR)の特徴

東京電力、東北電力、中部電力、中国電力で採用されている方式です。

沸騰水型原子炉(BWR)の概念図

出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集2015」

原子炉圧力容器内の圧力を70気圧くらいに上げ、上部の蒸気発生器で280℃の蒸気を作って直接タービンに送ります。
直接水蒸気をつくるため沸騰水型と言われます。蒸気発生器が上部にあるため制御棒は下から入ります。原子炉内部で蒸気を発生させるため上の方は空間になっています。
構造が簡単ですが放射能で汚染された蒸気でタービンを回すため、途中の配管やタービンは放射能性廃棄物となり、加圧型原子炉より廃炉費用がかかると予想されています。
格納容器下部の圧力抑制プ-ル(※)も完全に水で満たされているわけではないため地震の揺れには弱いとされています。実際、福島原発2号機では圧力抑制プールが破損し、放射性物質が漏れ続けていると言われています。
<※圧力抑制プール>
沸騰水型原子炉固有の設備で、原子炉格納容器の底部に位置します。約3,000トンの水を貯蔵。格納容器内で配管が破損し、蒸気が発生して圧力が上昇した場合に、蒸気をこの設備に逃がして冷却し、圧力を下げます。また、原子炉を冷却する機能が失われた場合に、非常用の冷却水を供給する役割も果たします。

加圧型原子炉(PWR)の特徴

北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力で採用されている方式です。

加圧型原子炉(PWR)の概念図

出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集2015」

沸騰水型(BWR)とは違ってPWRの圧力容器内は水で満たされ、圧力容器全体に圧力がかかるようになっています。そのため加圧水型と言われます。
圧力容器内では蒸気をつくらず、160気圧320℃の高温にした水を外の蒸気発生器に送り込み、熱交換器で別な水に熱を移し、その水が激しく沸騰してタ-ビンを回す仕組みになっています。
放射能で汚染された高温水を別な水に熱だけを移すため、事故がなければ蒸気は汚染されおらず、また格納容器の外の配管やタービンなどの設備も、将来、放射性廃棄物にはなりません。
圧力容器内は水だけあり、スペ-スもあるため、制御棒は上部から挿入します。
別な水に熱を移す熱交換器は構造が若干複雑でコストは高くなります。
原子炉が水で満杯のため地震などの揺れに強く、原子力船などにも採用されています。
PWRがBWRに比べて地震などによる過酷事故に強いとされ、世界の原発の7割で採用されています。

原発の実際

出典:北陸電力 

廃炉時には放射性廃棄物となるBWR型原発のタービン
福島第1原発のタービン/出典:毎日新聞

使用済核燃料プールによる原発の構造上の問題点

使用済燃料プールは「使用済燃料」を貯蔵・保管するための水槽のことです。使用済燃料とは言っても核分裂によって発生する核分裂生成物の崩壊により発熱と強い放射能を出し続けるため、十分深く、大量の水で満たされた水槽で冷却する必要があります。通常は3~5年程度冷却保管した後、再処理工場に輸送して処理します。しかし日本では再処理工場(青森県六ケ所村)の建設が完成予定を20年以上過ぎても完成のめどが立ってたっておらず、一部、英国などに再処理依頼した以外は、各地の原発内の使用済燃料プール内に保管され続けています。原発が「トイレのないマンション」と言われているのはこのためです。

出典:東京電力 http://www.tepco.co.jp.cache.yimg.jp/nu/fukushima-np/info/12053001-j.html

出典:中部電力 http://hamaoka.chuden.jp/spentfuel/qa02.html

使用済燃料プールは沸騰水型原子炉(BWR)では原子炉格納容器の上に位置し、加圧水型原子炉(PWR)では「原子炉格納容器の横に位置します。
なお、使用済燃料プールには、使用済燃料だけでなく、点検のため一時的に炉心から取り出した核燃料や、新しい核燃料もしています。

下記の東京電力の資料から使用済核燃料プールの構造を読み取ることができます。

東京電力「4号機使用済燃料プールは、構造的に水が漏えいしないものになっています」

1.使用済燃料プールは、厚さ約140~185cmの鉄筋コンクリート製で、さらに厚さ約6mmのステンレス鋼板で内張りされています。このプールは、プール下部のコンクリートおよび鉄筋の構造体で支えられており、爆発して損壊した4号機原子炉建屋の4階および5階の外壁では、元々ほとんど支えられていません。
2.プール水の循環は、プールの上から注水し、プール上縁から溢れた水をスキマサージタンクで回収するかたちで行われており、構造上プール水が流出する箇所となりそうなプールの側面や底面を貫通する配管や水抜き用の穴はありません。
3.スキマサージタンク*の水位を常時監視しており、プール水面からの水の蒸発分は適宜補給を行なっています。配管等の損傷によりプール水が漏えいしても、スキマサージタンク*の水位の異常な低下として検知可能ですし、プールを構成する鉄筋コンクリートとステンレス鋼板の内張りの間のすき間にも漏えい検知設備があります。
4.また、プールに注水する配管には動力を必要としない逆流防止弁が設置されており、万一配管が破断したとしても、逆流防止弁が自動的に閉まるためプール水が逆流して流出するようなことはありません。
5.プールの水深は約11mあり、長さ約4mの使用済燃料に対して、7mほど水がかぶっている状態です。プール水の循環が止まって、プール水の冷却ができなくなったとしても、深さ5m分のプール水が蒸発してなくなるまでには約3週間の時間がかかります。この間に必要な修理をして循環を再開させるか、発電所に待機させているコンクリートポンプ車でプールに水を補給することが可能です。
*スキマサージタンク
使用済燃料プールから溢れた水を受けるため設置されているタンク

以上出典:東京電力

朝日新聞の資料(「吉田調書」)によると福島原発事故当時、4号機のDSP(ドライヤ・セパレータピット)と原子炉ウエルには1440トンの水が張られていました。加えて核燃料プールは東電資料のよると厚さ140~185cmのコンクリートでつくられ、その内側を厚さ6mmのステンレス板で覆っています(燃料プールは12m×10m、原子炉ウエルは直径11mの円形)。さらに核燃料プールには核燃料を搬入/搬出するためのクレーン設備などもあります。それと約1500本の核燃料棒。それらの重量の合計を知りたかったのですが、資料を見つけることができませんでした。しかし1440トンの水だけでもSUV車1000台分に相当します。立体駐車場と大きく異なるのは、その重量がプールの面積という極めて狭い範囲に集中していることです。
そのような重量物が原子炉建屋の上部に配置されているため、沸騰水型原子炉は構造的に問題があると以前から指摘されており、事実、4号機の爆発に伴って急きょ行われた補修工事は問題点を浮き彫りにした結果となりました。

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