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ウラン燃料のリサイクル工程

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ウラン燃料サイクル

ウラン鉱石からつくられたウラン燃料を投入し、既存の原発(軽水炉)で使用した後、ウラン燃料をリサイクルしてMOX燃料をつくり、再度、原発で使用することで回り始めるサイクルが「軽水炉サイクル」です。リサイクルしてもウラン燃料は目減りしますので、外部からのウラン燃料の投入は続ける必要があります。
それに対して「高速増殖炉サイクル」は一度MOX燃料を投入すると、発電しながら原子炉内の核分裂過程で新たなウラン燃料が生成され、それを次回の燃料として使用するため、外部から新たなウラン燃料を投入する必要はほとんどない夢のサイクルです。
日本は外部から投入されるウラン燃料を100%輸入していますが、リサイクル燃料や新たに生成されるウラン燃料を日本政府は「国産エネルギー資源」と位置づけ、積極的に開発を推進してきました。しかし、実現できたのは莫大な資金をエネルギー源とした失敗と計画延長のサイクルであり、軽水炉サイクルも高速増殖炉サイクルも実現の目途は立っておらず、もんじゅの失敗を考えると破綻状態にあると言えます。

※軽水炉:軽水炉(けいすいろ)は、減速材に軽水(普通の水)を用いる原子炉。アメリカで開発され、現在、世界の80%以上のシェアを占めている(原子炉基数ベース、1999年)。日本で商用稼動している原子力発電所は全て軽水炉。沸騰水型原子炉(BWR)、加圧水型原子炉(PWR)などの種類がある。

MOX燃料とプルサーマル

MOX燃料はウラン燃料のリサイクル品

現在、原子力発電所で使っているウラン燃料は、核分裂しやすいウラン235と、核分裂しにくいウラン238の2種類のウランで構成されています。
MOX燃料は使い終わったウラン燃料から取り出したプルトニウムとウランを混合したもので、プルトニウムが4~9%、ウラン238などが91~96%という構成になっています。
MOXはウラン238とプルトニウムを混ぜた混合酸化物Mixed Oxideの略です。
MOX燃料は既存の原発のみならず、高速増殖炉の燃料としても使用することができます。

■ウラン燃料リサイクル

■MOX燃料は「国産エネルギー資源」

「使用済燃料から回収されるプルトニウム及びウランは,国産エネルギー資源として扱うことができ,この利用によりウラン資源の有効利用が図れるとともに,原子力発電に関する対外依存度を低くすることができるので,以下の方針に沿ってこれらを積極的に利用していくものとする。・・・1990年代中頃までには,その実証を終了し実用化を目指す。」
出典:「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(原子力委員会 1982年6月30日)

※上記の長期計画の目標から20年以上たっていますが、未だMOX燃料の国産化は実現していません。

■ウラン燃料とMOX燃料の比較

出典:中国電力 

■軽水炉用MOX燃料と高速増殖用MOX燃料

出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」

プルサーマル――ウラン燃料とMOX燃料のハイブリッド利用計画

これまでの原子力発電所では、ウラン燃料のみを使用していましたが、プルサーマルではウラン燃料とMOX燃料の2種類の燃料を使います。
MOX燃料はウラン燃料と同様に、陶器のように焼き固められた後、被覆管という金属の管に密閉されて、燃料集合体に組み立てられて使用されます。なお、ウラン燃料とMOX燃料の形や大きさは同じで、発電の仕組みも変わることはありません。
たとえば島根2号機で使うMOX燃料の割合は全体の3分の1までとし、残り3分の2以上は通常のウラン燃料を使用します。
建設中の大間原発はフルMOX燃料、すべての燃料をMOX燃料とする計画です。これは世界初の取り組みですが、世界初であるがゆえにフルMOX燃料による原子炉内での反応特性など運転してみなければ分からない部分もあり、計画の見直しや断念を求める声もあります。
たとえば2014年、函館市は市議会で訴訟のための議案を全会一致で可決後、国と電源開発を相手取って原発の建設差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしました。2017年にはふるさと納税による寄付金の用途に「大間原発建設差し止めの訴訟費用」を掲げています。
プルサーマルは「原子燃料サイクル」の一環
ウラン鉱石からウラン燃料を作って発電所で使用し、使い終わった燃料をリサイクルして利用する一連の流れを「原子燃料サイクル」と呼んでいます。資源の少ない日本では、ウランを有効利用することができる原子燃料サイクルを国の基本政策として取り組んでいます。
(出典:中国電力

夢の原子炉、高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)

概 容

高速増殖炉とは、「高速中性子」による核分裂連鎖反応を用いた増殖炉のことをいいます。「増殖炉」とは消費する核燃料よりも新たに生成する核燃料の方が多くなる原子炉のことです。その割合を「転換比」(もしくは増殖比※下記記載)と言いますが、通常の原発ではその値は0.5~0.6、すなわち核燃料のおおよそ半分が消費され熱エネルギーとなります。高速増殖炉の転換比は1.2~1.5、つまり信じられない話ですが消費する核燃料の1.2倍から1.5倍の核燃料を新たに生成する、ということです。
そのため、高速増殖炉は人類がいわば無限のエネルギーを手にすることができる「夢の原子炉」、「魔法の原子炉」と言われてきました。
しかし一方で転換比については高速増殖炉の宣伝材料もしくは予算獲得の方便として使われた理論値にすぎないとも言われています。新たに生成された核燃料の材料から実際に使用するための核燃料をつくるときの効率やコストなども考慮する必要があり、無限のエネルギー源というのは空論なのかもしれません。「永久機関」の実現は簡単ではなさそうです。
そのほか、
①米国やロシアが保有する原爆の材料であるプルトニウムを燃料として使用できること、
②日本が核燃料廃棄物として保有しているプルトニウムを燃料して再利用できること、
③核燃料を繰り返し使うことで高レベル放射性廃棄物、長半減期の放射性廃棄物の量を大幅に減らすことができること、
などから、日本を始め世界各国で研究が進められてきました。

世界の動向――ロシアは実用化に成功、中国も積極的

高速増殖炉は1970年代、80年代には米国、フランス、ロシア、イギリス、ドイツ、日本などで積極的な開発が進められていました。しかし1990年代前半に米国の実験炉運転停止、1991年ドイツの原型炉建設中止、1994年英国の原型炉運転中止、1995年日本の「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災で運転中止、1998年にはフランス実証炉スーパーフェニックスの運転中止と1990年代には高速増殖炉の開発は停止状態となり、フランスを除く欧州各国は高速増殖炉の開発を中止しました。
2006年、米国は核燃料サイクル計画 “GNEP: Global Nuclear Energy Partnership” によって、核燃料サイクルとともに高速増殖炉の技術開発推進を決定。このプロジェクトには日本を含む約20か国が参加が決定していたものの、わずか3年後の2009年に凍結されました。
一方、ロシアは積極的に開発を進め2016年に高速増殖炉の商業運転を開始しました。中国もロシアの技術を輸入して実験炉の出力試験を2014年に終了、2020年代に自主開発とロシアから輸入する高速増殖炉の二本立てで実用化を目指しています。

日本の動向

 1991年 高速増殖原型炉「もんじゅ」試運転を開始
 1995年 ナトリウム漏れ事故発生
 2005年 半世紀後の2050年頃の実用化を目指すことを閣議決定(小泉政権)
 2010年 「もんじゅ」15年ぶりに運転再開
      再開直後に核燃料交換装置が原子炉容器内に落下、再度運転停止
 2013年 原子力規制委員会より「もんじゅ」に対して運転準備中止命令
 2015年 原子力規制委員会、日本原子力研究開発機構に運転能力なしと文科相に勧告
 2016年 政府の原子力関係閣僚会議、「もんじゅ」の廃炉と核燃料サイクル政策を維持を決定

日本の高速増殖炉計画は上記の蛇行を経て現在に至っています。この間「もんじゅ」本体に1兆円以上投入されました。福島原発事故以降、日本の政治状況は「一番大きな問題は、自民党に原発問題の責任者がおらず、原発をどうするのかという具体的な計画が立てられない」(田原総一朗)という状態にあり、「夢の原子炉」だった高速増殖炉は「悪夢の原子炉」になってしまいました。

高速増殖炉に燃料を供給する予定だった「再処理工場」の建設も「もんじゅ」以上の蛇行と巨額な費用の垂れ流しを繰り返しています。2017年7月の使用済燃料再処理機構(青森市)の発表(下表)によると「再処理工場」関連の設備投資に4兆5,500億円、「MOX燃料工場」関連の設備投資に7,000億円など多額の税金や電気料金が投入されます。再処理工場は、当初、1997年の完成予定で、建設費は7,600億円の予定でしたが、その後、技術的な課題などで完成時期が20回以上延期され、建設費もそれにつれて膨れ上がってきました。下表でも今回「新規制基準」という項目で7,500億円が新たに追加されました。しかも密かに追加したため大きな批判を浴びました。

参考:使用済燃料再処理機構「再処理等の事業費について」2017年7月」(抜粋)

再処理関係事業費 (単位:兆円)

項目 今回 従来 変動 備考





初期施設

(再処理建屋等の既存施設分)

2.2 2.2 0
新規制基準 0.75 0.04 0.7 新規制基準審査の進捗に伴い、見直し
その他設備投資

(貯蔵建屋等の増設、設備更新)

1.6 1.1 0.5 自主的な安全確保等に必要と見込まれる費用
操業費等 7.4 6.8 0.6 自主的な安全確保等に必要と見込まれる費用
廃止措置 1.6 1.6 0
小計 13.5 11.7 1.8
経営効率化 ▲0.5 0 ▲0.5 操業期間を通して見込まれる経営効率化費用
13.0 11.7 1.3
返還廃棄物管理、廃棄物輸送・処分 0.9 0.9 0
合計 13.9 12.6 1.3

MOX燃料加工事業費(単位:兆円)

項目 今回




初期施設

(MOX燃料加工施設等)

0.4
その他設備投資

(設備更新)

0.3
操業費等 1.5
廃止措置 0.1
合計 2.3

 

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